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  • 執筆者の写真: 直樹 冨田
    直樹 冨田
  • 7 日前
  • 読了時間: 2分

更新日:1 日前

 何かの本で読んだか、誰かから聞いたか、すっかり忘れてしまいましたが、明治維新後、近代化に着手した明治政府が教育改革の一環として音楽(=西洋音楽)の教材をつくるのに、日本人の心に響く世界の国々の歌(唱歌)を集めてみたら、アイルランドとスコットランドの民謡(つまりケルトの民謡)、それにイングランドの民謡が多いのに驚いたそうです。今、手元にある同民謡を集めたCDからいくつか挙げてみると――『蛍の光』(スコットランド)、『埴生の宿』(アイルランド)、『庭の千草』(アイルランド)、『グリーンスリーブス』(イングランド)、『ロンドンデリーの歌』(アイルランド)、『ライ麦畑で』(スコットランド)、『アニーローリー』(スコットランド)、『スカボロフェア』(イングランド)、『春の日の花と輝く』(アイルランド)等など。よく知られている『線路が続くよどこまでも』は、19~20世紀にかけてアメリカ大陸で大規模な鉄道建設が行われた際に歌われた労働歌で、その多くはアイルランド移民だったそうです。

何となくしんみりで、ゆっくりした曲が多いのは、アイルランドやスコットランドの人々人が背負ってきた哀しい歴史ゆえでしょうか(両国の歴史に関しては高橋哲雄さんの本がお薦めです)。その一方で、故郷の人たちの顔を思い浮かべながら自分を静かに励ますメロディのようにも聴こえます。

 1958年生まれのギタリスト兼作曲家のアンドリュー・ヨーク(Andrew York)が作曲した『Home(故郷)』もケルト音楽の雰囲気を持っています。実際、あるYouTubeで、スコットランドの民謡を模して作曲したと彼自身が述べていました。この曲を聴いていると、タイトルからしてそうですが、久しぶりに懐かしい人に会ったような気持ちにさせられます。繰り返し出てくるメロディがタイムマシンのような働きをして、遠い過去の思い出深い人々のところへ連れて行ってくれるかのようです。もしこの曲を気に入ったら、YouTubeでアンドリュー・ヨーク本人の演奏を聴いてみてください(1888年作の名器Antonio de Torresで弾いている演奏)。多くのギタリストがこの曲を弾いていますが、「さすがは作曲者」と思わせる素晴らしいパーフォーマンス!演奏中の彼の表情や顔の動かし方から、並々ならぬ想いを込めてこの曲を作曲したことが伝わってきます(ただし、ゆめゆめ私の演奏と比較しないでくださいよ)。

 次回はタレガの『ロシータ(ポルカ)』、その次は『アルフォンシーナと海』をアップする予定です。乞うご期待!

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