タレガ作曲「ロシータ(ポルカ)」をアップしました
- 直樹 冨田
- 7月5日
- 読了時間: 3分
更新日:7月9日
フランシスコ・タレガの曲をアップするのは「アルハンブラの思い出」「アラビア風奇想曲」に続いて3曲目です。最近、タレガの自伝を読んだので、それに基づいてタレガについて少し紹介します。
タレガは1852年にスペインで生まれ、19世紀後半~20世紀初頭にかけてギタリスト兼作曲家として活躍しました。ギターを歌などの伴奏楽器からピアノやヴァイオリンのような独奏楽器としての地位を確立したフェルナンド・ソル(1778~1839)以来、クラシックギター音楽の作曲家にはジュリアーニ、コスト、メルツなど、今では名が知られた作曲家がいましたが、市民革命とともに貴族のサロンから大きなコンサートホールに演奏の場が移っていくにしたがって、クラシック音楽の世界でギターの地歩は下がっていき(ギターの衰退期)、タレガが活躍する頃には「酒場の楽器」と言われたそうです。そこにタレガが登場し、ギターの地位を再び押し上げました。
タレガは音楽学校に入学しますが、ギター科はなかったのでピアノ科に入り、ギターはほぼ独学で学んだようです。抜群の演奏技術をもっていたそうで、スペイン全土での名演がクラシック音楽としてのギターの評価を押し上げました。さらに演奏だけではなく、ギターにしかない出せない音楽を追求して、たくさんの名曲も残しました。ショパンを誰よりも敬愛していた(タレガはショパンのピアノ曲を17曲もギター用に編曲しています)ことからか小品が多いのですが、「椿姫幻想曲」「ベニスの謝肉祭による変奏曲」「グランホタ」などの大曲も作曲しました。もう1つ、タレガで忘れてはならない功績はたくさんの弟子を育てたことです。ミゲル・リョベ―トを筆頭にエミリオ・プジョール、ナルシソ・イエペスの先生のE・マルコ、ホセ・ルイス・ゴンザレスの先生でセコビアもアドバイスを受けたサルバドール・ガルシア、マリア・ルイサ・アニードが学んだ女性ギタリストのホセフィナ・ロブレドたちで、現在のクラシックギターの源流ともいえる人たちばかりです。
さて、「ロシータ」ですが、タレガはしばしば自作の曲を友人らに献呈しました。この曲もロシータという名の女性に献呈したので、この名前がつけられたようです。ポルカは2拍子の軽快な舞曲で、19世紀前半チェコで生まれたと言われています。毎年お正月にNHKで放送される「ニューイヤーコンサート」で、ウィーンフィルハーモニー管弦楽団が数々のポルカを演奏しますが、当時のチェコがオーストリア・ハンガリー帝国の一部だったことから、ウィーンフィルが自分たちの音楽として演していると思います。
※次回はジブリ映画「魔女の宅急便」の主題歌「海の見える街」をアップします。

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