「枯れ葉」をアップしました
- 直樹 冨田
- 2月14日
- 読了時間: 3分
最初からいきなり弁解がましいのですが、1月初めに人差し指の爪が、1月末には中指の爪が割れました。また昨年12月後半ぐらいからか、1年半前に受けた白内障手術の典型的な術後症状である後発白内障が起こり、約1か月の間、文字や楽譜がかすれて読めませんでした(1月半ばにレーザー治療を受けて後発白内障は治りました)。そんなこんなで本はあまり読めず、ギターの練習も遅れがちでしたが、ようやく「枯れ葉」をアップすることができました(人差し指の爪は弦になんとかひっかかる程度にまで伸びましたが、まだ十分ではありません)。
今回も前回に続いて哀愁をおびた歌をギターソロ用にアレンジした曲です。原曲を歌ったのはシャンソン歌手のイヴ・モンタン。彼が主演した映画「夜の門」(1945年)で歌った主題歌がその後、独り立ちして大ヒットしました。この映画は、第2次世界大戦中にレジスタンスを戦ったり、裏切ったりした人々の戦後の生活を描いた映画だそうです。そういえば、以前に読んだ岸恵子さんの自伝にイヴ・モンタンの名前が出てきたように記憶しています。彼女の(離婚した)夫は映画監督の故イヴ・シャンピで、医科大生だった戦争中、パリを支配したナチに対してレジスタンスを仕掛けて戦い、戦後、レジスタンスのネットワークの中でサルトルやボーボワールといった知識人や文化人と盛んに交流し、その中にイヴ・モンタンの名前も出てきたように記憶しています(手元に本がないので確認できません)。ちなみに、イヴ・モンタンはイタリア生まれで、共産主義者だった父がムッソリーニを嫌って家族でフランスに渡り、その後、モンタンも共産主義者になり、戦後、デモや集会などの政治活動に積極的に参加しました。
「枯れ葉」の作詞は詩人のジャック・プレヴェール。映画「天井桟敷の人々」の台本なども書いた人で、詩人の茨木のり子さんが著書「詩のこころを読む」(岩波ジュニア新書)の中で、「祭」と題するプレヴェールの詩を紹介しています。面白い詩なので、ちょっと横道にそれますが紹介します。
祭
おふくろの水があふれるなかでぼくは冬に生まれた
1月の或る夜のこと
数か月前の春のさなか
ぼくの両親のあいだに花火があがった
それはいのちの太陽で
ぼくはもう内部にいたのだ
両親はぼくの体に血をそそいだ
それは泉の酒だった
酒蔵の酒ではない
ぼくもいつの日か両親とおなじく去るだろう
茨木さんは上記の本の中で「父と母、男と女は仮の姿で、天地の精気が或る日或る時、凝縮して、自分というものが結晶化されているのだーーと思えば、たとえどのような生まれ方をしていたとしても、くよくよするには及ばず・・・」と解説していて「超ど級のおおらかさ」をほめたたえています。
さて「枯れ葉」です。YouTubeでいろんな歌手がこの歌を歌っていますが、何といってもやっぱりイブ・モンタンの歌が醸す雰囲気が最高です。動画の字幕には以下の歌詞(の日本語訳)が流れていました。
北風が思い出を運ぶ
忘却の冷えた夜の中に
ぼくは忘れない
君が歌ったあの歌を
ぼくたちに似ている歌だ
君は僕を愛し
ぼくは君を愛していた
ぼくらは一緒に暮らしていた
人の世は愛し合う者を引き裂く
そっと静かに、音も立てずに
波は砂浜に寄せて
分かれた恋人たちの足跡を消す
「枯れ葉」はギターソロ用に様々に編曲されていますが、私はアントニオ古賀さんの編曲で演奏しました。ご自身も歌手兼ギタリストであるせいか、この手の歌の編曲が上手だと思います。
次回はアルベニス作曲「アストゥリアス」をアップするつもりです。ただでさえ難曲ですが、爪が十分伸びないとこの曲の速いパッセージは弾けないので、まだあまり練習ができておらず、いつものように「乞うご期待」とは書けません。4月頃にアップしたいと思ってはいますが、まあ、気長に待っていてください。

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